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概要

NaigaiNenshi

と考えていた。クレームを真剣に解析した結果、重大な欠陥が分かり、製品の回収、取り換えをした。以後、抜け止めワイヤーの寸法管理と製品のレントゲン検査により歯止めがかかった。同様に1994(平成6)年、海外生産委託したQ形フレックスについてもワイヤー曲がりが発生し、何度も指導に行ったりしたが改善の兆しは見えなかった。これについても疑わしいものは現地確認および回収、取り換えなどを行い、遅まきながら未然に事故を防ぐことができた。そうした中、それまでのクレームの発生場所、用途、ジョイントのサイズとタイプ別に不具合を集計して、改善すべき点を抽出し、その分析結果を基に、補強繊維はテトロンをナイロンに変更した。それにより、ずいぶんとクレームが減少した。品質は技術だけの問題ではなく、製造、生産技術、販売と全社の力を結集してさらに向上させていくことの重要性を痛感させられた出来事であった。もう一つ、阪神・淡路大震災の後、販売から偏心量の大きい埋設管継ぎ手の話が持ち込まれた。技術陣は埋設時の土圧、土圧に対する補強、大偏心に対するフランジからの抜け止め法、偏心量と長さの関係、加圧による継ぎ手の伸びなど、今までの問題点を設計に盛り込み、ストレートタイプの埋設管継ぎ手と地上用継ぎ手を開発した。同時に成形機も設計し、小口径から大口径まで製造・販売するようになった。これら一群の継ぎ手については大きなクレームもなく、安定した性能を維持している。モータークッションの技術開発についてモータークッションは1970(昭和45)年頃に既に存在していた。押し出された丸棒状のコンパウンドをチョークの入った担架に並べ、この押し出し棒のチョークをエアガンで吹き飛ばして定寸にカットし、秤量およびジョイントして金型に仕込み、1,000×1,000ぐらいの4段手動プレスに2個取りの金型を順次詰めていき、加熱冷却して金型を取り出して製品取り出し、仕込み金型をプレスへといった一連の仕事であった。チョークまみれになりながらの重労働だったが、電機部品の宿命で値下げ要求が激しく、いつも赤字のやり玉に挙がっていた。そのうち、この作業場の2階においてガス膜の生産減でAPプレスの空きが増え、これを利用できないかということになり2階で加硫することになった。加硫が済んだ順にプレスが開いて製品が取り出せるようになり、少しは生産性が向上した。こうした中、技術部では画期的な発泡体の製法に関する研究に取り組んでいた。1次加硫の完了(ガスを保持するだけの加硫)後、金型体積を広げることにより1次・2次加硫を同時にやってしまおうというアイデアだ。これをモールドリリース法と名付けてゴムスポンジを作ろうとした。プレスでの試作検討を進め、さらにこれをインジェクション化すれば時間短縮になり、コストダウンにもなる。やがてサイズアップし、インジェクション用試験型ができた。加硫、金型開き、中子戻し、製品取り出しを全手動で行い最適の条件をつかみ出すため、インジェクションの空く日曜日に何度も7掃除機用モータークッションゴム製法の転換(1982年4月)高発泡精密部品であるモータークッションゴムの製法を従来のプレス加硫法からラバーインジェクションによる製法へ転換することに成功。顧客の厳しいコストダウンへの要望に対応することができた。テストを繰り返した。やがてこれがモータークッションのインジェクションモールディングの開始へとつながっていく。81(同56)年から82(同57)年にかけてのことだった。インジェクションを導入し、いよいよ試作に入ったところ、金型の焼き付きが起こった。モリブデン系の潤滑剤を1回ずつ約1週間、その後は1日1回くらいの割合で塗布しながら試作を続ける間にも、当84