ブックタイトルNaigaiNenshi

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概要

NaigaiNenshi

第3章:雌伏の時代[1964-1982]3手した頃だった。塩ビ配管の伸縮継ぎ手で、内面塩ビ製というコンセプトだった。伸縮継ぎ手は製品中央部をアーチ状にした形状で、これをいかにして成形するかがポイントになった。考えたのは座屈成形という方法。低寸に切られた塩ビパイプの両端を成形治具に差し込み、蒸気で塩ビを加熱してフレアー加工し、冷却後取り出し、これにゴムを被覆し2次型(アーチを中心に上下4個の型とプレスに取り付けられたフランジ部の上下2個の型から成る)にセットしパイプ内部に蒸気を吹き込む。頃合いを見てゆっくりとプレスを下げパイプを座屈しながら膨らませ、アーチと同等まで膨れた時点で上下型を締めるといういかにも器用な成形だった。狭いプレスの裏側に回ってボルトの着脱、蒸気シームレスと冷却配管への切り替えのため、手袋が濡れ、やけどまみれでドロドロの作業となった。ちょうど現在のPFタイプのE-Pジョイントの成形加硫のイメージである。その頃は試作品ができるのを待ちかねるように代理店の者が取りに来ていた。これが後にゴムだけのE-PジョイントRタイプの試作に発展していった。次いで圧力タイプの継ぎ手に取り掛かった。耐圧のための補強をどのような形にするか、金網の編み込みホースをRタイプのジョイントに被覆して耐圧試験を行っても圧力上昇に伴ってジョイントが膨張し、補強金網もズルズルと抜けていき補強の役を果たしてくれない。スダレ織りの使用を決めたのは他社品を見てのことだった。繊維とゴムの接着はそれなりに進んだが、問題は補強体をいかにすれば固定できるかということだった。既にRタイプではフランジがツバ付きであったので、最終的にはアーチの立ち上がり部で固定することにした。このフランジのツバは圧力がかかるとジョイントのストレート部が膨張し、このツバの部分でしっかりとジョイントを保持し圧力に耐え、アーチ立ち上がり部の固定用ワイヤーでスダレのズレを防止するという機構になっている。さまざまなクレームに対応して新しいタイプのジョイントに改善していったが、個々の改善で問題発生が少なくなってきたものの、ほとんど開発当初の設計に近いものも製造している。この辺りが内外ゴムの内外ゴムらしいところかもしれない。副社長の野間は「内外ゴムは新製品を開発するのはうまいけど、製品を育てるのがへたでんなー」とよく言っていた。「クレーム対策をしっかりすることにより製品改良ができるのだ」と。代表的なクレームの一つが、ジョイントからの水漏れ発生だ。調査した結果、抜け止めワイヤーが加硫中に曲がってしまい、抜け止め溝にきちんと入っていないものがあった。外観上、ワイヤーが曲がっていないもの安定した品質を誇るE-Pジョイント〈1980(昭和55)年代の商品カタログより〉83