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概要

NaigaiNenshi

第3章:雌伏の時代[1964-1982]3た。しかし、いくら調整しても社内で作った芯と外注で作った芯では“ひと味”違った。不良率も、部分的軟化についてもしかり。その理由はバインダーの付いたコルク粒の乾燥に石油バーナーを使用していたことだった。油は燃えて炭酸ガスと水になる。乾燥しているのに熱風とともに水をかけているようなものだった。社内芯と外注芯の差はそこにあった。十分乾燥していない芯は強力なコンソリ機でこすられ変形し、その復元力が不足して不良率を押し上げて品質低下の因となっていたのだが、その原因をバインダーのせいにして他のバインダーを検討していた。そこで、バインダーの種類と量、糸巻き量など基本設計から見直し、試験打ちを重ねて現在のバインダーとバインダー/コルク量・芯径・糸巻き量の基本設計を成し遂げた。話を元に戻す。エマルジョン系接着剤では含浸後乾燥工程が必要だが、U系バインダーはバインダーを被覆したコルク粒をそのまま金型に仕込んで加熱冷却すれば芯が完成することから、これを基に芯の内作化を進めた。この装置では、コルクとバインダーの定量ミキシングにはエフロートのク粒の搬送・秤量には設備面でもいろいろと工夫を凝らした。この粘着力の強い材料の搬送・秤量の自動化が図れたことから、1人のキーパーで機械・材料および芯のバリ取り、芯の糸巻きができるという画期的なものに仕上がった。しかし何事においても完璧なものはなかなか難しく、バインダーの粘度が温度により著しく異なることに気が付いたのは、冬のある日の抜き取りで耐久試験不合格が出た時だった。レポートから、バインダー量が一定量以下になると芯の強度が落ちるということが分かっていたので、早速バインダー計量を確認したところ、バインダーの温度低下による粘度上昇により搬送量が低下していたことが判明した。すぐにバインダーとバインダー搬送パイプを保温し、対策を打った。こうしてボール製造ラインは、見学者にも多少は胸を張って説明できる工程になった。2000(平成12)年にはOB会が工場見学に訪れ、各工程の変貌ぶりを見てあちらこちらから「きれいになったな!」「よその会社みたいやな」「すごいな」などと感嘆の声が上がった。樹脂とMBの定量ミキシングをするオートカラーを使用し、芯の加熱・冷却には省エネの観点から過熱プレスと冷却プレスを分離し蒸気のロスを少なくしている。また、バインダーに付いたコル3EVA樹脂による漁網用浮子(エフロート)の開発(1979年6月)住友化学工業株式会社(現住友化学株式会社)の工業所有権と当社の技術を結合させ、新素材(EVA)による浮子製造開発が完成した。これにより大幅な生産性の向上と新需要の開拓に成功した。従来、漁網用浮子にはコルク、桐、モミ、松、杉、ガラス球が使用されていたが、戦後アメリカから硬質塩ビ中空成型品や硬質塩ビスポンジ製品が輸入され、国内のゴム、塩ビメーカーが製作を開始した。漁網用浮子の技術開発についてコルク粒を固めて芯を作る当社では1953(昭和28)年に塩ビ・77