ブックタイトルNaigaiNenshi

ページ
77/204

このページは NaigaiNenshi の電子ブックに掲載されている77ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

NaigaiNenshi

第3章:雌伏の時代[1964-1982]3ソフトボールの技術開発について●ソフトボール成型1970(昭和45)年頃のソフトボールの成型は、押し出し⇒ダスティング⇒成型⇒ストックとなっていた。現在とほぼ変わらないが、ダスティングが成型前になっている点が異なる。ここが一番苦労したところだ。作業場は粉塵が立ち込め、作業する女性は白い粉まみれになって一生懸命ソフトボールの外皮を成型していた。この劣悪な環境を改善すべく「ノーダスティングで成型せよ」という号令が発せられた。そもそもダスティングの目的は、シート同士の粘着防止と金型へのシートのスムーズな滑り込みにより外皮の扁肉を防止することにあった。金型改造、押し出し口金の改造、ボールの試作、扁肉評価、さらにノーダスティングによる成型ボールとリターンの分離のための金型食い切り構造の検討などを繰り返し行った。ライン移転の盆休み前日になっても完全なものにはなっていなかった。いよいよ当日、ボールがリターンとくっつき、成型の女性からは「外して」「こんな切れにくいのでは肩が凝る」といった声が上がった。成型プレスの圧力変動でゴムが切れたり、切れなかったりで、暗黙の了解の下、スパナを持って油圧ポンプの圧力を調整する日々が続いた。こうしてノーダスティング成型が安定していった。●ソフトボール糸の接着処理ゴムと糸の接着といえばRFL処理が一般的だが、従来は表皮ゴムの共糊に糸巻き芯をディップしてこれに外皮ゴムを成型していた。これはソフトボールの耐久性の面で多少の難があった。また、ゴムを細かく切って溶剤に溶かし糸巻き芯をディップし、乾燥に至る工程は労力を要した。そこで、社内でRFL処理液を作製し、ディッピング⇒ベーキング⇒最終的には押し出し成型との同期化を図ろうということになった。技術ではRFL処方とベーキングおよび製品化、そして製品評価を繰り返し、設備を設計した。RFL調合装置、ディッピング装置、ベーキング装置を今のE-Pジョイントのスダレ裁断機のある建て屋に設置した。さらにベーキング済みの芯は隣の建て屋のソフトボール成型ラインに搬送すべく、リフトコンベヤーを設置した。1978(昭和53)年頃のことである。もちろん最初からスムーズに流れるはずがなかった。ベーキング炉内での芯の落下や滞留による詰まり、炉入り口からの芯の落下、さらに成型ラインへの搬送コンベヤーからの芯の落下など全て人海戦術で処理し、小改善を進めていった。こうして同期化の段取りとなったが、同期化成型によるボールはホットな芯にゴムを被覆す高速で回転する内芯に糸を巻き付けていくソフトボールのディップ処理75