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概要

NaigaiNenshi

第3章:雌伏の時代[1964-1982]3た。また、都市ガスに液化天然ガスを使用するという話から、この運搬船のガスタンクを保冷するための硬質スポンジの開発話が持ち上がった。当時は、比重0.01~0.03程度の高発泡で補強性のあるフランス製の塩ビスポンジが用いられており、ウレタンは低温性の点で使用されていなかった。特許を基に試作をし、ほぼ最終段階で特許使用に関する交渉に入る寸前で沙汰止みになった。その他、白色の静電防止シューズの開発ということで対応するスポンジ配合を作成した。量的な効果はあまりなかったが、製品化を果たした。スポンジということで、ムースの話が持ち込まれた。数字では言い表せない感触を具体化するという点で最も当社らしいファジーな仕事だった。市場の意見を取り入れながら材料、構造等を変更しながらテストピースを作り、各時期の担当者が改良を重ねて現在のムースになった。スポンジ関連で、この時期特筆すべきはモータークッションスポンジのインジェクション1回加硫法の確立である。スポンジを知り尽くした当社だからこそできた製法である。モータークッションがなくなったことで、この技術がやがて忘れ去られるのは残念なことだ。生産性向上と合理化への取り組みオイルショック後、あらゆる面でコストを見直す取り組みが始まった。工場では生産性向上を目指し、作業研究、標準時間の設定、製造と設備との密接な連携を保ちつつ、大きく前進させていった。また、作業能率や意欲の向上のために次々と施策を実現した。製造部門においても設備の近代化、効率化を目指して、管理体制を確立するための努力を続けた。これらは生産技術者、設備近代化スタッフ、監督者を中心に他部門との協調、全員参加によって進めていった。1978(昭和53)年からは、技術陣による製造ラインの近代化を着々と進めた。主要なものは以下の通りである。1軟式野球用中空ボール製造ラインの近代化(1978年~78年末)シート出し方法、裁断方法、内核の成型方法の改善を中心に、押し出し、裁断、成型の同期化ラインを完成させた。それに続き、枠締めオートクレープ加硫方式からプレス加硫方式への転換を中心に、型締め加硫型はずしの自動化ラインの完成によりシート出しから包装までの全工程の省力化に成功した。軟式野球ボール(中空ボール)の技術開発について●軟式野球ボール(中空ボール)成型1975(昭和50)年頃から中空ボール下貼りゴムの機械貼りの生産ライン化が始まった。機械成型化されたラインの工程を担っていたのはほとんど未経験者のアルバイトだった。この工程の完成には一人の技術課員の貢献を忘れてはならない。彼は何の資料もない中、毎日一人でゴム配合の検討、成型金型の設計をこつこつと積み重ね、基礎的なノウハウを蓄積していった。地味ではあるが、この野球ボールの生産ライン73