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概要

NaigaiNenshi

に不振を極め、原価割れの状況に陥った。これを補う他の商品群においても、これといったヒットに恵まれなかった。岡崎は不採算品の自転車および二輪自動車のタイヤ・チューブなどの製造を中止するとともに、抜本的な企業体質の改善、生産性の向上に取り組んだ。神戸工場を閉鎖し明石工場へ統合当時、神戸工場では主に自転車用タイヤ・チューブを製造していた。その製造中止に伴い、経営陣は生産機能を明石工場へ集中統合することを決断し、1969(昭和44)年10月に神戸工場を売却。発祥の地、神戸を離れ、明石への移転が完了した。だが、移転は順調には進まず苦労は絶えなかった。元取締役の岩間治三郎は、「会社の再建合理化を進めるべく、神戸工場を売却し、縮小均衡を実施するため明石工場に集中統合が行われた。生産設備の移転は順調にとはいかず、加えて従業員の生産意欲も低下を来した。資材購入にも支障が出るといった有様だった。この苦境の時代にもお得意先、代理店の皆さんから従来どおりの取引を続けていただき、支援と励ましに支えられたことを感謝とともに忘れてはならない」と当時の思いを記している。ビューティーウォークの後に続いた女性向けサンダル「ビューティーモード」と「ローマンモード」も高周波ウエルダーの性能が大いに発揮された。前者は小柄のタータンチェック系の布地にビニールレザーを裏貼りし、高周波で溶断したバンドを使用。後者は射出されたバンドを高周波で重点的にバリを取って仕上げた。キルティング仕様の「ウインターモード」は当社を代表する製品である。当時、履物にはあまり使われていなかったトリコットを4mmのウレタンに貼り合わせたものを裏側に使用。裁断された甲被に高周波ウエルダーでキルティング模様を薄く付け、その模様通りにキルティングを施した。高周波模様の通りキルティングステッチをするので、直線縫い、曲線縫いが自由自在にできた。秋から冬にかけて売り出すため、夏場に大量に生産していたが、クーラーのない時代の作業は大変で、特に癖付け加硫の工程は過酷を極めた。従業員は汗だくになりながら、大きな蒸気釜の前で出来上がった商品に癖付け用のアルミラストを打ち込んだ。休憩時間には氷水と塩の錠剤を必ず飲んでいた。高周波ウエルダーの商品群はとにかく生産量が多かったので、小さな現場は材料でいっぱいだった。高周波ウエルダーは創業100周年を迎えた今高周波ウエルダーを使用した履物製品1970(昭和45)年頃、高周波ウエルダーの使用技術を生かして数々の製品を開発。売り上げに貢献した。シンプルな夏用履物として人気を博した「ビューティーウォーク」は、おそらく国内で初めてビニールスポンジを中底に使用した履物である。4mmに漉いた白いビニールスポンジに緑のソフトソリッドビニールを重ね、高周波ウエルダーで融着し、模様とラインを付けた。ソフトな足当たりが好評で、メーカーがビニールスポンジの生産を中止するまで数年間、生産した。高周波ウエルダーは創業100周年を迎えた現在も活躍中だ66