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概要

NaigaiNenshi

その後マーケティングを開始し、目標にしていたガスメーター会社数社にデモを実施した。品質・性能面では高い評価を得られたが、電気の使用は不可と指摘された。ガスメーターは電池で10年間動かさなければならないため余分な電気は使用できないとの理由だった。以降、他の業種にデモを実施するが、地震計測を目的に開発したセンサのため使用できないケースが生じた。そこで、地震計測をターゲットにマーケティングを見直し、センサの性能改善を進めた。99(同11)年5月、株式会社ナブコと東京消防技術研究所が実施した、地震発生時における瞬時自動ドアの開放、ベッドへの降下物保護装置の瞬時テストに当社のセンサが採用された。その様子はテレビで取り上げられ、アピールすることができた。翌月には、当社と東和護謨化工、東洋オートメーション株式会社の3社でP波(縦揺れ)地震感知器の共同開発契約を取り交わす。東洋オートメーションは、エレベーター用機械式地震感知器のメーカーであった。機械式地震感知器にはS波(横揺れ)しかなく、P波地震感知器の開発に当たり3軸加速度センサを採用してもらった。2001(同13)年にエレベーターメーカーに「P波地震感知器」が採用され、新設エレベーターの約20%に使われた。「S波地震感知器」「PS波地震感知器」も開発したが、コスト面(機械式の方が廉価)や設置場所(P波は地上に設置、S波は屋上に設置)の問題もあって採用に至らず赤字が続いた。05(同17)年7月23日に発生した千葉県北西部地震により東京都内で約4,000台のエレベーターが運転を休止し、その一部でエレベーター内への「閉じ込め」が発生した。これを契機にP波地震感知器の義務化が検討され始めた。当社は将来の需要増を見越して07(同19)年11月、センサ開発部をセンサ事業部に変更した。その後、大手エレベーターメーカーが新設エレベーターにP波地震感知器の設置を標準化したことで、当社の販売数量が大幅に増加した。また、08(同20)年9月、建築基準法の改正により、新設のエレベーターに地震時管制運転装置の設置が義務付けられることとなった。こうした追い風により、10(同22)年12月には開発以来の累積損失を解消し、黒字化を果たすことができた。現在は、月平均約1,200台、年間約1万5,000台を生産している。新規事業であったセンサ事業の成功の要因として、次のようなことが考えられる。1会社側が開発当初から有能な担当者を人選し、投入した2経営トップの熱い思いと支援があった3開発に係る3社間の人脈に恵まれ、ベクトルが統一できた4ワコーの特許を基に97(平成9)年10月に「3軸加速度センサ」の特許出願ができ、自信がついたP波地震感知器を含む「工業用品」は、かつて「スポーツ」「フットウェア」「タイヤチューブ」を合わせた4事業の中で売り上げ全体に占める比率はスポーツ用品の次に小さかったが、98(同10)年頃にフットウェア事業を追い抜き、現在はタイヤチューブの約50%に次ぐ、約27%を占めるまでに成長した。ISO9001を取得ISOは、良い製品を作るためのシステムを管理するための品質規格マネジメントである。当社は2001(平成13)年のISO9001に続き、03(同15)年にはISO14001の認証も取得した。その後、08(同20)年にはセンサ事業部でもISO9001の認証を取得した。取得の経緯は以下のようなものだった。1996(同8)年に経営理念を制定し、“お客様第一”を掲げ品質の向上にチャレンジしていた。しかし、98(同10)年はゴム業界の状況が戦後最大の落ち込みを記録するなど、市場は厳しい競争下にあった。大手を中心に各企業はISO9001とISO14001の認証取得が、企業間取引におけるパスポートとして顧客に信頼、信用してもらえるものと判断しており、当社もISO9001取得を目指した取り組みを2000(同104